
- 「未経験でもスマホだけで稼げます」
- 「在庫を持たずに始められてリスクなし」
- 「知識ゼロでも専用AIシステムが自動で管理」
このような言葉で「物販」や「せどり(転売)」の副業を勧める広告を、Instagram、X、TikTokなどのSNSやネット広告で目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
一方で、このような広告をきっかけに高額な物販スクールやコンサルティングを契約したり、情報商材を購入したりしたものの、十分なサポートやノウハウが得られず、支払ったお金や借金だけが残ってしまったというトラブルが後を絶ちません。
「だまされるほうが悪い」と片付けられがちですが、実際の手口はかなり巧妙で、誰にでも起こり得る、いわゆる「副業詐欺」と呼ばれるトラブルの一種です。
この記事では、物販スクールやコンサル契約でありがちなトラブルの実態と、怪しい勧誘を見抜くポイントを解説します。
物販副業や物販ビジネスとは、安く仕入れた商品をECサイトやフリマアプリなどで高く売り、その「仕入れ値」と「売値」の差額で稼ぐビジネスです。
主に次のような方法があります。
実店舗やネットで安く売られている商品を買い、メルカリやAmazonなどで高く売る方法です。
在庫を持たない状態でネットに出品し、売れてから商品を仕入れて購入者に送る方法です。
メーカーと提携する「ドロップシッピング」などの仕組みのほか、一般の通販サイトを仕入元にする「無在庫転売」などがあります。
海外から安く仕入れて国内で売る、または国内の商品を海外に向けて売る方法です。
本来これらは、売れる商品のリサーチや丁寧な梱包・発送、在庫管理といった地道な作業を積み重ねてはじめて利益につながるビジネスです。
ところが悪質な業者は、このような大変な部分をあえて説明せず、「初心者でも簡単に、短期間で、誰でも大きな利益を得られる」とだけ謳って高額な契約を迫るため、トラブルに発展しています。
物販やせどり自体は違法ではありません。それでも「やめたほうがいい」という声があがる理由は、悪質なスクールなどが教えるノウハウに、次のような重大なリスクが潜んでいるからです。
プラットフォームの規約違反によるアカウント停止
実は、多くのスクールが推奨する「無在庫転売」は、プラットフォームごとに厳しいルールがあります。
メルカリやヤフオクなどの主要なフリマアプリ・ECサイトでは、無在庫販売そのものが一律で禁止されています。
Amazonも、正規提携に基づく直接発送は認めているものの、他店から商品を購入してそのまま購入者の住所に直送する「無在庫転売」は厳しく禁止しています。
さらに、メルカリは2025年10月22日付で利用規約を改定し、営利目的で継続的に販売を行う「事業者」は個人アカウントを使えなくなりました。
事業者向けの「メルカリShops」に移行しても、無在庫販売(手元にない商品の出品)が禁止されている点は変わりません。
スクールに言われるまま他店の商品データをコピーして出品すれば、規約違反としてすぐに見つかり、アカウントの永久停止や売上金の没収につながります。
在庫不足や価格の仕組みで稼げない
「在庫を持たずに転売で稼げる」「月収50万円も可能」といった謳い文句を信じて契約するケースは少なくありません。
ところが、実際に案内された仕入れサイトを確認してみると、そもそも出品できる商品の在庫が少なく、選べる商品自体がほとんどないということが起こります。
それだけでなく、他の通販サイトの販売価格に手数料や利益を上乗せした金額で出品させられ、他の出品者より割高になってしまうケースもあります。その結果、商品はほとんど売れず利益がでません。
こうした仕入れ先の実態や価格設定の仕組みは契約前には明かされないため、いざ始めてみると謳い文句どおりの収入は得られず、高額な契約金だけが手元に残ってしまいます。消費者庁も、この手口について注意喚起を行っています。
クラウドファンディングを使った手法に潜む大変な作業
「日本のクラファンサイトに商品を載せて、支援が集まってから海外から仕入れるので安全です」と説明を受けるケースもあります。
しかし、この方法は審査のための書類作成、海外メーカーとの外国語での交渉、発送遅延や不良品の対応など、難易度の高い作業が次々と発生します。
こうした大変さは契約前にはほとんど説明されず、高額な契約を結んだあとになって「思っていたより負担が大きくて自分には無理だ」とギャップを感じ、断念してしまう人が少なくありません。
偽ブランド品・知的財産権侵害に巻き込まれるリスク
スクールでは「安く仕入れて高く売る」ノウハウばかりが強調され、仕入れた商品が本物かどうかを確認する方法や、商標権・著作権への配慮については、ほとんど教えられないことがあります。
その結果、知らないうちに偽ブランド品や、他社のロゴ・キャラクターを無断使用した商品を仕入れて販売してしまうことも起こり得ます。
「知らなかった」では済まされず、本物かどうかを確認しないまま販売した本人が、思わぬ法的トラブルに巻き込まれるおそれがあるのです。
怪しい契約に気づくための、典型的な勧誘パターンを整理します。
DMやLINEから始まり高額サポートへ引き込む
インスタやX(旧Twitter)で「未経験から副業で稼げるようになった普通の人」を装うアカウントからダイレクトメッセージが届き、公式LINEへ誘導されるパターンは典型的です。
ラインに登録すると、まずは無料あるいは数千円程度の安い費用で申し込ませられます。
届く情報商材(電子マニュアルなどの資料)の中身は乏しく、「有料サポートに加入しないと稼げるやり方は教えられない」「本当に稼ぎたいなら、数十万円〜百万円のサポートプランが必要」 と説明されたのち、電話で高額な契約を迫られます。
このような「二段階勧誘」について、消費者庁も注意喚起を行っています。
画面共有アプリなどを使った借金の指示
高額なサポートプランを提案され、手元に資金がないことを伝えると、「みんな借金して始めていますが、すぐに稼いで返せています」と消費者金融からの借金を勧められることがあります。
「スマホの操作を手伝う」という名目で、画面を相手に見せるアプリや遠隔操作アプリ(ZoomやAnyDeskなど)を入れさせられ、業者が画面を見ながら消費者金融への申し込みを指示してきます。
複数の消費者金融に次々と申し込ませることで、信用情報機関への登録が反映されるまでのタイムラグを悪用し、年収を大幅に超える借金を負わせる手口も確認されています。
申し込みの際に、仕事や年収を偽って入力するよう指示されることもあり、気づいたときには多額の借金を背負わされてしまい、国民生活センターも、この手口による相談の急増に注意を呼びかけています。
達成するのが不可能な「返金保証」の条件
「もし稼げなかったら受講料を全額返金します」という言葉を信じて契約してしまうケースも非常に多いです。
しかし、いざ「稼げないから返金してほしい」と申し出ると、返金保証の対象となるための条件を持ち出してきて断られます。
- フリマアプリで150人以上のフォロワーを集めること
- ネット上に自分の本名や自宅の住所を公開すること
- 何千件もの出品データを決まった期限までに出し続けること
本業の傍らでしか時間を確保できない人や、スキルのない初心者にはとても達成できないような厳しい条件が、気付きにくい場所に書かれており、最初から返金するつもりがないケースがほとんどです。
本記事で紹介した各行政機関からの注意喚起および資料は、以下のリンクからお読みいただけます。
「せどり」や「物販」自体は実在するビジネスです。ただ、これを悪用した、詐欺的な勧誘を行う悪質なスクールやコンサルのトラブルが後を絶たないのも事実です。
勧められている物販副業やスクール、コンサル契約などに少しでも疑問を感じたら、お金を支払う前に、まずは家族や信頼できる専門家に相談してみてください。
もしすでに契約をしてお金を支払ってしまった、あるいは断りきれずに消費者金融で借金をしてしまったという場合も、弁護士に相談することで返金を受けられる可能性があります。
当事務所では無料相談を受け付けております。まずは状況をお伺いし、返金請求が可能かどうかお答えしています。
お困りの際はお気軽にご連絡ください。


