
昨今、出会い系サイトやマッチングアプリ、SNSの普及により、面識のない相手と出会う機会が増えています。その一方で、悪質なサクラサイトや、サクラアプリを利用したことによる詐欺被害も増加しています。
本記事では、サクラ詐欺の概要や、詐欺被害に遭った際に取るべき対応について解説します。
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サクラ詐欺は、出会い系サイトや、マッチングアプリなどの運営者が、偽の会員である「サクラ」を使い、利用者に誤認させて課金を促す手口です。
サクラは、一般ユーザーを装い、会話を引き延ばしてポイント制サイトやアプリのポイントを消費させたり、さまざまな名目で高額な費用を支払わせることを目的に接触してきます。
「実際に会うこと」や、「連絡先を交換したい」という意図は持っていません。
サクラを相手にどれだけお金をかけてやりとりを続けても、直接会うことや連絡先の交換は、一向に実現しない仕組みです。
悪質なサクラ詐欺の手法は、多様化し続けており、サクラ詐欺のご相談はあとを絶ちません。
主な手口や特徴として、以下の例があります。
外部サービスからの誘導
大手マッチングアプリやInstagram、X(旧Twitter)で知り合い、LINEでのやりとりに発展した後、「スマホを買い替える」などの理由をつけて悪質なサイトへ誘導され、被害に遭ったケースのご相談が大半を占めています。
LINEでのやりとりを挟むことで、サクラへの警戒心を薄れさせることを狙った手口です。
面識のない相手からの連絡や甘い誘いには、安易に乗らないよう注意しましょう。
積極的なアプローチ
唐突に連絡先の交換を申し出てきたり、最初から会う前提で話しかけてきたりする相手は、サクラである可能性が高いです。
「どうしてもあなたと会いたい。絶対に連絡先を交換したい。」といった強い姿勢で期待感を持たせ、課金するよう促します。
また、「会ったときにかかったお金は全部返すから」と言われ、課金をせがまれて支払ってしまったケースもあります。
様々な名目で支払いを求められる
サイトやアプリで連絡先を交換するために、複数の手続きを強いられるケースは、サクラ詐欺の目立った特徴です。
具体的な例は、以下のとおりです。
- キーワードの認証が必要
- 文字化けや画像非表示の解除
- 会員ランクアップが必要
- セキュリティロック解除
- イベント参加費
- 報酬や支援金の受け取り手続き
なぜか手続きに失敗し、何度もやり直しをさせられたり、最後の手続きだと思っても後から別の手続きを求められたりして、課金を繰り返してしまったというご相談が非常に多いです。
手続きに必要な費用は次第に吊り上げられ、出費が増えるばかりで、連絡先の交換には至らないのが典型的な特徴です。
メッセージのやりとりを長引かせる
ポイント制のサイトやアプリでは、メッセージを送信するたびにポイントを消費します。ユーザーがやりとりを続けるためにポイントを購入すればするほど、サイトやアプリは利益を得られます。
相手と何度待ち合わせをしても、急に都合が悪くなって会えない状況が続いたり、会話が噛み合わず不自然に感じたりした場合は、サクラの可能性を疑いましょう。
サクラ詐欺に遭ってしまった場合は、サービスの利用を即座に中断し、すみやかに弁護士へご相談いただくことをおすすめします。
取るべき具体的な対応は以下のとおりです。
やりとりを中断し追加の課金をしない
「騙されたかもしれない」と感じたら、サービスの利用はすぐに中断しましょう。
相手に疑っていることを悟られないようにするために、無理にやりとりを続ける必要はありません。
また、相手やサイトの運営者に対して問いただすことは絶対に避けてください。強制的に退会させられたり、過去のメッセージの内容などを消去されたりする恐れがあります。
退会の手続きをしない
退会処理され、サイトやアプリにログインができなくなると、証拠が保存できなくなってしまいます。これにより、返金請求の際に、不利になる可能性があります。
ただし、すでに退会してしまった場合でも、返金請求が可能なケースもあります。お早めにご相談ください。
できるだけ証拠を保存する
返金交渉を有利に進めるための材料になり得るものは、できるだけ確保しておきましょう。
以下に保存しておきたい証拠の例を挙げます。
- クレジットカードの利用明細
- 銀行の振込明細票や通帳など
- プリペイド式電子マネー(コンビニ決済)の控え
- 決済完了時に受信した決済代行会社からのメール
原本でなくとも、鮮明な写真やコピーなど文字の判別が可能なものであれば、代用できる可能性があります。
- やりとりを引き延ばされている
- 何度も手続きに失敗しその度費用を請求された
- 何度もドタキャンされ一向に会えない
- 金銭の受渡しに様々な名目で請求された
上記は一例です。不審に感じた内容は、積極的に保存しましょう。
サイトやアプリ内のメッセージは、数日で自動的に消える仕組みであることが多いため、注意してください。
スクリーンショットで保存するほか、端末の画面をカメラなどで撮影しても構いません。
- 会員ID(会員番号)
- ニックネーム(名前)
- 登録地域やプロフィール
- 登録したメールアドレス
サイトまたはアプリの運営者が、利用状況を照合する際に提出を求められるケースがあります。
2024年6月から7月にかけて、副業募集や出会い系を装ったサイトを複数運営していた詐欺グループの男女が逮捕されました。
詐欺グループは、SNSやマッチングアプリで出会いを装って不特定多数に接触し、「携帯が壊れた」などと偽って自らのサイトに誘導。連絡先交換には「文字化け解除費用が必要」などと嘘をつき、全国で約8600人から19億円以上を騙し取っていた疑いがあります。
グループは「打ち子」とよばれるメンバーを使い、実際には存在しない人物(サクラ)になりすまし被害者とのやりとりを担当させていたと考えられます。
サクラ詐欺は、複数の法律に抵触する可能性が極めて高いです。
詐欺や虚偽の表示によって、金銭的被害を受けた場合は、損害賠償請求が可能です。
詐欺の被害者は、あなただけではありません。巧妙な詐欺の手口に、多くの方が騙されているのが現実です。
騙されたことを恥ずかしく思ったり、ご自身を責める必要は全くありません。
「騙されたかも」と思ったら、冷静に状況を見直し、すぐに必要な対策を取ることが重要です。
当事務所がしっかりとサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。